法律よもやま話1    

弁護士 松 原 三 朗 クレアヒルだより 第7号(平成13年7月)

  

   

 初めまして。私は松江流通センターの顧問弁護士で松原三朗と申します。
 顧問弁護士とは、いつでも、どんなことでも協同組合や組合員である各企業、並びに各企業の従業員の方々の法律相談に応じるものです。
 例えば皆さんが自宅の土地の境界争いでもめていて、ちょっと弁護士に相談してみたいというような場合、組合か、自分の会社にその旨を連絡されれば、私が無料で皆さんの相談に応じます。何故相談料がただかというと、組合から月々顧問料を戴いているからです。皆さんは私の事務所へ来て戴くなり、電話なりで、相談料のことなど何の心配もなく、気楽に相談することができます。もっとも、相談の結果調停とか裁判をするということになり、引き続いて私にその手続きを依頼するという場合は、その為の弁護士費用は有料となります。
 昔は法律事務所の敷居をまたぐといくらとられるかわからない、などと心配する人もおりましたが、今はどの弁護士のところへ行ってもそういう心配はありません。まして皆さんは相談料の心配はいりませんから、どうぞどんどんご利用下さい。
 私は隠岐布施村の出身で、今年52歳になります。昭和52年に松江市で法律事務所を開設しましたから、今年で弁護士生活25年目に入りました。島根県は全国一弁護士の少ない所で、現在22名しかおりません。そのうち1名が益田市に、2名が浜田市に、4名が出雲市におりますから、残り15名が松江市にいることになります。私が弁護士になった頃と殆ど人数は変わりませんが、世代交代により平均年齢は20歳位若返りました。私も県内ではいまや6番目に古い弁護士となってしまいました。
 日本では弁護士が少ないことから、法律相談も満足に受けられず、又、裁判が長期化するとの批判があって、今後は弁護士はもとより、裁判官、検察官も大幅に増やすことが政府の「司法制度改革審議会」によってつい前月の6月12日に決まりました。例えば、弁護士は現在全国で1万8,000人いますが、これを5万人に増やすことになりました。約3倍に増やす訳ですから、単純に計算すれば島根県でも70名弱位になります。この位の人数になれば、いつでも自由に簡単に弁護士を利用できるようになり、市民の皆さんには便利になります。
 アメリカは弁護士が100万人近くいます。中には弁護士だけでは飯が食えなくて、夜はタクシーの運転手をしている人もいます。アメリカでは法律事務は完全に「ビジネス」です。交通事故で病院に運ばれた人に弁護士が面接して名刺を渡し、「損害賠償の交渉は是非当法律事務所へ」とセールスするのはあたり前の社会です。従って訴訟の数も莫大です。
ぬれた猫を電子レンジで乾かしたところ、黒こげになってしまった。ぬれた猫をレンジで乾かしてはいけないとの説明がなかったのはけしからんとして、レンジ製造会社を訴える。
タバコを吸ったら肺ガンになったとしてタバコ会社を訴える。
二階ベランダから侵入しようとした泥棒が、ベランダが腐っていた為転落してケガをしたのは、危険なベランダを放置した家の持主のせいだとして訴える。
隣家から芝刈機を借りて芝を刈っていたら足をケガしたが、そのような安全装置のない危険な機械を貸したのが悪い として隣家を訴える。
など、毎日毎日様々な裁判がおきています。日本でも弁護士や裁判官の数が増えすぎるとアメリカのような訴訟社会になってしまうと心配する人もいます。然し少なくとも現在の弁護士や裁判官の数は少なすぎるのは事実ですから、当面は大幅増員をするべきだと私も思います。
 日本での裁判の現状はどうでしょうか。
 大きく分けると法律問題は、民事事件、刑事事件、家事事件に分かれます。民事事件は、金の貸し借りや土地の境界問題など社会生活を営んでいるなかで他人との間で生じる色々なもめごとです。刑事事件は、犯罪を犯して刑事罰を受けることです。家事事件とは、離婚や相続など、夫婦、親子、兄弟など家庭を巡るトラブルです。
 次回から私がとリ扱った事件を紹介しながら、皆さんに気楽に身近な法律知識を理解してもらえるように「法律よもやま話」をさせて戴きます。今回はこの辺で失礼します。