法律よもやま話28 

弁護士 松 原 三 朗 クレアヒルだより 第34号(平成22年3月)

  

   

 既に結婚している皆さんは、結婚前の姓はどうなりましたか? 私こと松原三朗は、それはそれは可愛いと当時思い込んでいた桧垣春美さんと、昭和50年7月15日に結婚しました。以来実に35年も経ってしまいました。結婚したら、親の戸籍から出て、夫婦2人だけの新しい戸籍をつくることになります。夫婦は同じ姓を名乗ることに民法で決まっていますから、2人で相談した結果、桧垣春美さんは私の姓を名乗ることとなって、松原春美となりました。
その後、奮励努力の甲斐あって、3人の子供に恵まれましたが、矢張り民法で子供は親の姓を名乗ることになっていますから、それぞれ松原三和(長女)、松原武彦(長男)、松原英樹(次男)となりました。
民主党政権になった現在、民法改正案が国会に提出されています。その改正案は、「選択的夫婦別姓制度」というものです。 今までの法律のように、夫婦が同じ姓を名乗ってもいいし、それぞれの今迄の姓をそのまま名乗ってもよい、どちらにするかは今から結婚する2人で自由に決めてよい、というものです。 私の例で言えば、夫:松原三朗、妻:桧垣春美と戸籍に記載して良いということになります。つまり、きちんとした夫婦ではあるが、夫は松原姓、妻は桧垣姓という別々の姓でも良いことになります。
 夫婦が別々の姓を名乗ることとなった場合、子供の姓はどうなるのでしょうか? 今度改正される民法では、出生届を出すときに夫婦で相談して決めなさい、となっています。夫婦の意見が一致すれば、長女は松原三和でも桧垣三和でもOKです。理由は関係ありませんから、女の子だから母親姓を、でも良いし、父親似だから父親姓を、となっても全然OKです。
 5    
   兄弟姉妹が別々の姓を名乗ることも自由にできます。 私の例で言えば、松原三和(長女)、桧垣武彦(長男)、松原英樹(次男)とすることも自由です。従って、私の家族は極端な場合、夫:松原三朗、妻:桧垣春美、長女:松原三和、長男:桧垣武彦、次男:松原英樹と戸籍上に記載され、学校や職場でもそのとおりに名乗るということもあり得ます。
 6  
   どちらも自分の姓を名乗らせることを頑として主張し、譲らない場合は、家庭裁判所が審判という判決と同じような判断をすることになっています。
 7  
   選択的夫婦別姓制度については賛否両論あり、大体拮抗しています。家族の一体性を破壊してしまう亡国法だとの意見もあれば、個人の尊厳を考えれば至極当然だとの意見もあります。 さて、皆さんはどう思いますか? そしてこれから結婚する人は、法案が可決成立したらどうしますか?