経営応援隊さんいん

IT活用事例紹介


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組織・社員のやる気と能力向上」
−グループウェアを使ったら同心円上の情報で全社が動く−
顔写真 会 社 名:松江土建株式会社                     
創   業:昭和19年5月
代 表 者:稲塚公郎
本社所在地:島根県松江市学園南二丁目3番5号
事業内容 :
 総合建設業の他に不動産の開発・取引・管理水処
 理研究開発、スポーツ施設経営を幅広く運営する総
 合建設会社である。
売 上 高: 約77億円
従 業 員: 162 名  情報部門担当者:2名(専任)
URL: http://www.matsue-doken.co.jp
◆社長の困りごと
・セキュリティの強化と社内情報の共有を目的としてグループウエアを導入したが、活用が今一歩だった。
・グループウエアを全員で積極的に活用できる社内体制を構築し、経営のスピードアップを目指したい。
◆ こうして解決した
@ 対策のポイント
・グループウエアの定着化・活性化を図るためにITコーディネータの指導を仰ぎ、各部署ごとの担当者と打合せを行い現状分析や問題点の抽出、対応策の検討及び教育訓練を実施した。
A 成果
・全社員がグループウエアを活用して業務の効率化を推進するベクトルが揃ってきた。
・目に見えない時間効率が向上し経営のスピードアップが図られた。
・セキュリティ対策が格段に向上した。
・社内独自の手順書や一覧表の作成、配付及び小集団での教育の実施により、利用効率が格段に向上している。
◆ きっかけは?
・当社に向けてウイルスが侵入し、社内のメールやインターネットが一週間停止するという事件が起きた。
・問題解決のために島根県のITSSP発表会に出席し、実社会での実務経験を充分に積んだITコーディネータと出会い指導を依頼した。
◆一言
・ITコーディネータに情報共有システムの活用・活性化のために、考え方や手法の指導を受け「自分たちの気づき」と「人の教育の大切さ」を教えて頂いた。 (談話)

(2)当社の概要

 松江土建株式会社は昭和19年5月に当時の企業統制令により島根県東部の建設業者が、 企業組合として松江市に本社を置き創設された。
 島根県下一円の学校・病院・事務所ビル・集合住 宅・店舗など建築工事の施工や道路・河川・橋梁・ トンネル・舗装・緑化・下水道など土木工事の 施工を行う総合建設業として発展を遂げている。
 また近年では、新規事業として水質浄化技術や 自然にやさしい濁水処理技術の研究開発を目的とした環境事業を立ち上げ推進している。
 関連事業としてはスポーツ施設(ボウリング場)・貸店舗・賃貸マンションの経営、 不動産開発と取引や宅地建物の取引媒介など合わせ経営している。建設業としての営業範囲は主とし て島根県と鳥取県とし、山陰地方一円をカバーする総合建設会社だ。

(3)グループウエアの導入
グループウェア <離れた工事現場同士が情報を共有したい>
 当社のグループウエアはピコネットの愛称で運営されている。
 ロータスノーツのWEB版を使い全社員向け、役員向け、部長向け、各部署向け、技術情報等を扱うテクニック、社員のコミュニケーション用等に分類され活用されている。
 建設業では工事現場が数箇所(場合によっては数十箇所)に跨る場合が多い。その中で書式集や工事データ、施工図等が共有できれば現場の能率が飛躍的に向上する。
 グループウエアを導入するまでは、会社内の工事でありながら現場が離れているために他現場(例えば学校、体育館、老人施設、事務所、集落排水等)の工事概要や提出書類、施工計画書等を参考にすることはできなかった。
会議室予約画面  グループウエアを導入したからこそ全ての現場から即座にアクセスでき参照できるようになった。
 当社ではISO9001を取得している。文書の改訂や変更の都度紙ベースで処理し、その後に趣旨の徹底のために皆を集めて説明会を実施していたが、グループウエア導入後はこのような手間もなくなった。
 また、文書管理機能を利用して当社の「資料庫」としても機能させている。各作業所で作成した施工計画書を分類・保管をしており、他の作業所から必要な施工計画書にアクセスしその情報を活用することができるようになった。類似の施工計画書が活用できるので大幅な業務の軽減に繋がっている。  グループウエアは業務に直結した硬派の運営だけではなく、社内のコミュニケーョンにも役に立つことを願い、社員が自由な意見を発言できる場や最新技術紹介、他社動向、社内報の情報化、最近では女性従業員向けの情報提供等に幅広く活用されはじめている。


(4)システム導入前はどうだったのか?
 当社はオフコンで財務会計の処理から開始したが、社内情報の共有化を目指し平成15年3月にグループウエアを活用したシステムを稼動させた。グループウエア導入前は工事現場ごとに書類を持ち、契約書等の重要書類は本社管理としている。最近はISO等の関係で資料を残すことも必要になっている。会議室の予約も、以前は総務部に部屋の空き状況を確認して予約していた。社内報等も印刷物を配布しているのみだった。

(5)「気づき」のキッカケとなったものは・・
<ウイルスが侵入して気づかせてくれた・・>
 当社はインターネット活用が全部署に普及している。ところが2001年12月に当社に向けてウイルスが侵入し、社内のメールやインターネットが一週間停止するというトラブルが発生した。これは会社にとっては大きなショックだ。当社の仕事として国土交通省や島根県の建設CALSがはじまれば電子入札に参加できず業務に支障が出る恐れがあるのだ。このためには必ずどの部署からでも本社のメール保管庫(ウイルス防御)を経由して、メールやインターネットを活用できるようなシステムが必要であり、ウイルス対策を二重・三重にして万全の対策をとっておくことが必要なのだ。このためにはグループウエアの活用が有効であることに気がついた。

(6)グループウエアを導入した成果は?
<放射状から同心円上での情報活用へ>
 本来、会社の中は同一のシステムで動く必要がある。グループウエア導入まではISOの書類や安全の書類にしても各種あり、会社として一式を揃えておかなければいけないものが現場長や所長の考えによって必ずしも揃っていなかった。これを本社のサーバの中に資料庫を持つことで離れた現場のパソコンから自由にアクセスでき、各種の資料や施工図や工事データ等が瞬時に参照し活用できるようになった。これができたのもグループウエアのおかげだった。
 グループウエア導入後は、現場の人たちがこの利便性を体感しはじめている。建設工事現場では全てに同じ情報というのはありえないが、基本的に同じような情報が活用できる場面はある。現場が本社から離れて遠くなればなるほどこの便利さが向上した。現場の距離の遠近に関係なく、グループウエア上で社内情報を共有し活用することにより“同心円上の情報で全社が動く”ようになったからだ。グループウエアを使うことで目に見えない時間効率が向上し、これが経営のスピードアップにも繋がっている。最近の現場ではグループウエアを活用しないと業務に支障をきたすようになってきている。
 本社内にいる社員はこのシステムの有効性はわかりにくい。しかし、一度社の外に出て使った場合にこの効果は抜群だ。当社の場合、現場のパソコンの中には情報はなく、全てサーバの中にあるので現場でデータが壊れることを心配する必要も無い。また、セキュリティ面でもサーバ経由であるので外部から内部へ、内部から外部に接続をする場合のセキュリティも強化されているが、各人の持つパソコンにも同様なセキュリティ対策が施されている。また、情報漏洩に対する考慮として共有する情報と個人情報は明確に分離されている。

(7)ITコーディネータのコンサルティングを受けて (談話)
 社内の人たちだけで検討する場合“自分たちが今どのレベルにいるのか、あるいは大筋の流れはわかっていても、これからの一歩がどこにあるのか”というような手掛かりになる情報が見つけられないことが多々ある。
 今回、ITコーディネータに系統立てて指導を受けたことで、将来的な目標のターゲット・ラインがどこにあるかが理解できた。これが理解できれば現在のポジショニングも理解できる。そうなると、目標を達成するためには、どのような道筋を立てて進めばよいのかも理解できる。目標と現状が明確になるからこれは当然のことだ。これを机上の理論ではなく、会社の中の現実問題として教えて頂いた。
 この中で大事だったのは「自分たちの気づき」だった。このことをITコーディネータから教えて貰った。また、グループウエアを活用する本当の目的は“ITの活用が経営目的を達成する大きな手段である”いうこともよく理解できた。ITコーディネータから様々な指導を受けて、事務局自身が積極的に勉強することの大事さも理解できた。最終的には「企業として人材育成の大事さ」にも気がついた。社内の人たちだけではなかなかここまではできないし、問題を解決するのにもっと時間を要したと思う。


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