合板とホルムアルデヒド



今、『シックハウス症候群(病気の家)』という疾患が問題になっています。
これは、住宅などの新築、増築後に頭痛や目、のどの痛み、アトピー性皮膚炎等
の症状を訴える人が増えてきているというものです。
これは、JAS(日本農林規格)の低ホルムアルデヒド規格基準に合格していない
合板を使用したり、高気密、高断熱の住宅が増えたことによるホルムアルデヒド
の放散、室内への充満が原因です。
このような問題は、JASの低ホルムアルデヒド規格基準に合格している合板を
使用したり、室内の換気を良くすることで防ぐことが出来ます。


JASの低ホルムアルデヒド規格基準

前規格表示区分 新規格表示区分 平均FR値 最大FR値
F☆☆☆☆と表示するもの        0.3mg/l以下   0.4mg/l以下  
Fc0 F☆☆☆と表示するもの 0.5mg/l以下  0.7mg/l以下 
Fc1 F☆☆と表示するもの 1.5mg/l以下 2.1mg/l以下
Fc2 F☆と表示するもの 5.0mg/l以下 7.0mg/l以下

※FR値 = ホルムアルデヒド放散量


合板のホルムアルデヒド放散について、
「WHO基準の気中濃度0.08ppm以下にするためには、現行JAS規格適合合板
 を何枚使用できるか?」
この疑問に対する、(財)日本住宅・木材技術センター 岡 勝男 理事長の公
式見解をご紹介します。


                                  住木技発11第58号
                                   平成11年5月7日

                          (財)日本住宅・木材技術センター
                              理事長  岡 勝男

         合板のホルムアルデヒド放散に関する使用目安

前略、 合板のホルムアルデヒド放散に関し、WHO基準の気中濃度0.08ppm
以下にするためには、現行JAS規格適合合板をいくら使用できるか、その目安
につきましてお尋ねがありましたが、当センターの見解を以下のようにお知らせ
致します。

なお、この見解は当センターが平成8年度から平成10年度の3年間に亘って
行った「木質建材環境問題技術開発事業」で得た実大実験などの各種実験
のデータに基づくものです。

                      記

1.使用の目安の条件

 (1)対象合板 : 普通合板
 (2)室内使用環境条件
     室内温度 : 26℃
     室内湿度 : 75%RH
     部屋の換気 : 0.5回/hr
 (3)室内の気中濃度
     厚生省委員会提案の0.08ppm以下(WHO基準と同じ)とする。

2.使用の目安

 (1)F1 JAS合板 (基準値 : 平均0.5mg/l、最大0.7mg/l)
   @室内内装としての合板の使用量
     床(又は天井)と3壁まで使用可能
        10畳の部屋 : 46m2 3×6版合板約27枚
        4.5畳の部屋 : 27m2 3×6版合板約17枚
   A押入、収納設備に使用可
   B家具、設備用に使用可(これらの製造における接着剤の使用には注意
     が必要)
   Cオーバーレイ、つき板貼りなどを行う合板の台板用として使用可

 (2)F2 JAS合板 (基準値 : 平均5.0mg/l、最大7.0mg/l)
   @ビニールクロス壁下地用
     3壁まで使用可能
        10畳の部屋 : 29m2 3×6版合板約18枚
        4.5畳の部屋 : 20m2 3×6版合板約12枚
   Aカーペット下地用
     床に使用可
        10畳の部屋 : 17m2 3×6版合板約10枚
        4.5畳の部屋 :  7m2 3×6版合板約5枚
   B建材畳下地
     床に使用可
        10畳の部屋 : 17m2 3×6版合板約10枚
        4.5畳の部屋 :  7m2 3×6版合板約5枚

3.2に記した部屋のサイズ

 (1)10畳
     高さ : 2.4m
     幅  : 4.55m
     奥行 : 3.64m

 (2)4.5畳
     高さ : 2.4m
     幅  : 2.73m
     奥行 : 2.73m

                                         以上



私たち湖北ベニヤは、JAS低ホルムアルデヒド普通合板(F☆☆☆☆合板 FO−56、
F☆☆☆合板 PO1−196)の認定を取得し、全生産品目について、低ホルムアル
デヒド合板のみ(F☆☆☆☆合板、F☆☆☆合板のみ)を生産しています。

また、社内にホルムアルデヒド放散量試験の試験設備を設置し、担当の検査
員が毎日、自社製品のホルムアルデヒド放散量試験を行い、製品の性能確認、
品質保証を行っています。


ホルムアルデヒド放散量試験 試験風景


最近のホルムアルデヒド放散量試験結果(F合板)


製品厚さ(mm) 平均FR値(mg/l) 最大FR値(mg/l)
2.5 0.169 0.172
7.3 0.141 0.145
9.0 0.125 0.128
9.0 0.109 0.112
9.0 0.174 0.178
9.0 0.153 0.156
12.0 0.183 0.186
12.0 0.144 0.148
12.0 0.202 0.206

※FR値 = ホルムアルデヒド放散量