中国留学館/留学生コラム
「日本〜ドイツ〜そして大連を体験中

「第4回目 脱帽!肖先生 そのA」(2005年04月25日/更新)

翌日目の前に現れた肖先生は思っていたよりずっと若い人だった。てっきり中年の女性だと思っていたのに、まだ30過ぎだぐらいという。セキちゃんが「AIちゃん、肖先生、若くてきれいでしょう?」と嬉しそうにいう。どうも先生は彼女の憧れの人みたい。

「先生今日はよろしくお願いします。」とご挨拶すると笑顔で「え〜、でも恥ずかしいですねえ。」と言われる。その日本語、しぐさもまったく日本人そのもの。

全体の生徒数は28人ぐらいだというけど、みんな4年生で就職活動で忙しいためか、今日はちらほら欠席が目立つ。先生から「今日はお客様がいらっしゃるので、後でいろいろお話を聞かせてもらいましょう。」と紹介される。

驚いたのが、授業は全部日本語で進められること。先生が日本語で説明し、生徒のほうも日本語で答える。

今日の翻訳の素材は10年前に日本で行われたあるシンポジウムでの中国人のスピーチ。先生は一人づつ当てていき、生徒の回答を直していく。「「東京に来られてうれしい、よりも、この場合光栄に存じますの方がいいですね。」や「影響になる、ではなくて影響を与える、あるいは及ぼすと言いましょう。」と的確に直していかれる。なんだか日本人の先生とまったく変わりがないんだけど、一体どうしてこんなにうまいわけ?と首をかしげているうちに私との質疑応答の時間になった。

生徒の一人から出された「きれいな日本語とはどんな日本語のことを言うのですか。」という質問は日ごろあまり考えたことがなかったので、回答に時間がかかった。その場は何とか取り繕ったものの、後々考えさせられるきっかけになった。

授業の後短い時間先生とお話ししたけど、最後まで日本語の欠点が見つからなかった。さぞかし長い間日本に住んだのかと思いきや、留学していたのはたった2年間という。「すばらしいですね〜。」と私がひたすら感心していると「いえいえまだまだなんです。今日は日本人の方が見えられると聞いて緊張してしまいました。」と微塵も偉ぶるところがない。

肖先生については武勇伝のいとまにキリがない。本来院卒でなければ大学で教える資格がないところを、彼女のあまりの優秀さに、わざわざ大外のほうから卒業時に教授の椅子を打診してきたとか、赴任してきた日本人の先生が職員会議の間中ずっと彼女を日本人だと思っていたことや、別の日本人の先生が彼女を天才と呼んだこと等々。

にもかかわらず本当に謙虚で丁寧な態度。私は心から感服してしまって、「もう、脱帽!肖先生、という感じです。」と口走ると「帽子、ありませんけどね。」とさわやかに笑われた。

岐路に着きながら何だかとてもすがすがしい気分になった。ここ数日中国各地での日本に対するデモの様子が耳に入り、やや中国人に対してネガティブな気持ちになりかけていたけど、こんなすばらしい人もいるのだな、と。と同時に3年間住んでやや慢心がちになっていたドイツ語学習をもう一度やろうかという気にもさせられた。

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