「後三年の役」の絵巻物
 今より九百年前、応徳三年(1086)奥州で起きた藤原家衡、武衡の乱で、源義家が苦戦の末平定した戦闘の模様を画いた約20bにも及ぶ長い絵巻物。
 悲惨な戦闘の情景を精緻に描いた合戦絵巻の秀作で、目を覆うような場面がそこここに描かれている。これは石見地方の旧家に伝わっていたものですが、水害で見られぬほど傷んだものを修復したものです。この原本は重要文化財として東京国立博物館にあり、当館所有のものは、元禄十四年十月(1701)に数本写された物の一つです。このうち現在わかっているものは岩崎家「静嘉堂文庫」のものと当館のふたつだけしかなく、非常に貴重なもので一見に価するものです。