アロマテラピーの基礎知識 |
−いま、なぜアロマテラピーなのか−
アロマテラピー(芳香療法)とはハーブ(薬用植物)や果実などから抽出した100パーセント天然のエッセンシヤルオイル(天然植物精油、略して精油)を暮らしの中で美容や健康に役立てるライフスタイルをいいます。 自然指向や健康に対する関心が強まるなか、安全でしかも実用性とフアツシヨン性を兼ね備えた手軽な美容健康法として我が国だけでなく、欧米でも注目を集めています。 アロマテラピーは比較的歴史の浅い分野のようにも見えますが、私たち人類は、はるか古くから植物の芳香成分を治療に役立ててきた歴史があります。中国や中東、エジプト、インドではおよそ3000年以上の歴史を持っています。 現代医療の進歩は確かに伝染病や結核などの感染症で生命を落とすことは少なくなりましたが、逆に新たな病気の出現に悩まされることとなり、病人の数はむしろ増え続けるという現実に直面します。病原菌という療因がはっきりわかる種類の病気から、ストレスや長期にわたる生活習慣の乱れといった目に見えない原因による心身症や成人病へと病気の質が変化してしまったのですたのです。こうなると病療菌を医薬品で殺していくような近代医学の考え方はほとんど無力です。そのため、病気になってから治療をするのではなく、正しい日常生活を取り戻して病気にかからないようにする予防医学に重点を移すことが大切になります。そこで、ストレスなど目に見えない原因にアプローチすることが可能で、しかも副作用などの危険性がないアロマテラピーが注目されるようになってきたのです。 |
−香りは、こうやって体に効く−
エッセンシヤルオイル(精油)の有効成分を私たちの体に取り入れるには2つの方法があります。1つは香りを鼻から吸入して脳に働きかける芳香浴、もう1つはエッセンシヤルオイルを植物油に希釈(薄める)して、それを皮膚から吸収させ血液やリンパ液に送り込むアロママッサージです。 |
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<吸入のメカニズム> |
香りは鼻から脳の中心部に伝わり、各方面に働きかけるエッセンシヤルオイルは揮発性なので、香りの分子は空気中を漂い鼻の奥の嗅上皮という部分に達します。香りはここにある嗅細胞で電気信号に変換され嗅神経を介して大脳辺緑系へと伝 わります。次いでこのメッセージは海馬という記憶を司る場所や視床下部の脳下垂体へと伝達されます。脳下垂体は自律神経系や内分泌系(ホルモンや酵素)、免疫系の3つの大きなシステムを統括する、生命活動の司令塔のような場所です。ここに香りのメッセージが伝わるとそれぞれの香りに対応した生理活性物質(ある特定の作用を生体に引き起こす物質)が分泌されるのです。 例えばラベンダーの香りはセロトニンという生理活性物質を分泌させますが、このセロトニンは神経系を鎮静させる物質なので、ラベンダーの香りを用いることで心身をリラックスさせることができます。 また、エッセンシヤルオイルには抗菌作用がありますから室内の空気浄化に利用できます。アレルギーの諸症状を引き起こすアレルゲンのカビや家ダニも除去します。 このように香りは脳を経由して様々な作用を心身に及ぼしながら、同時に環境にも働きかけていろいろな効果をもたらします。 |
<マッサージのメカニズム> 心と身体は一体、同時両方向からアプローチできるのが利点 |
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