■一個人 2001.5.No.12 特集:お贈りしたい小さな町の和菓子 で紹介されました。 お茶が支える和菓子文化
一方、昔ながらの鄙びた味わいを楽しませてくれるのが「來間屋生姜糖本舗」。その名の通り、生姜糖一筋300余年の老舗である。この生姜糖、出雲地方には、「スサノオ伝説」に伝わる斐伊川周辺、出西地方でのみ収穫される幻の生姜”出西生姜”を原料にして作られる一品。カリカリと軽快な歯ざわりの後、砂金の如くサラサラほどける口溶けの良さが身上。甘さの奥にピリピリと香る、生姜の辛さが妙に後をひく。それも、繊維がきめ細やかで辛味の強い出西生姜を使えばこそ。地味でありながらも、ひたすら伝統を守りつづけるこのようなお菓子ひとつにも、松江の和菓子文化の奥の層の厚さがうかがえる。 |