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荒島石について |
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安来市荒島町川原の仲佐石材店を訪ね、荒島石について話を伺いました。 荒島石は特色として凝灰岩に属する軟石で、耐火、保温(断熱)、防音、乾燥性に優れ、他の石材より軽く、セメントとの接着性が良く、工事も容易で速く完全にできるそうです。また、青・赤・白と多様な色彩と斑点があり、おもしろみがあり、目に柔らかさと温かみを感じさせてくれます。 荒島地区に数多くある古墳にも同質の石材が使用されている程の歴史の古い産物ですが、職業的に採掘しだしたのは二百四・五十年前からと伝えられています。荒島石の採掘は戦後の最盛期には十箇所以上の採掘場で40人以上の採掘職人がいたという。仲佐さんは同種の石の採掘としては先進地である宇都宮の大谷石の採掘現場に何度も足を運び、技術を習い大型機械を注文されました。それまでは手掘りだったのを、仲佐さんが35年頃から機械掘りに変え、採掘から加工、施工まで手がけ、荒島石に付加価値をつけたといえるでしょう。また、荒島石は底に掘り進むほど硬くて色は青白くなります。そして赤い石は比較的柔らかいのですが、その組み合わせがまた表情を作り出します。その特質を活かし、大型の乾物倉庫や、神社・仏閣の宝物収蔵庫、壁面の張り石、門柱、石塀、乾燥炉、蔵、焼却炉など多様な用途を作り出しました。特に蔵に関しては設計から手がけ、大型の石扉の特許も取得しておられます。身近な使用例としては安来高校の玄関の外壁の張り石があります。あのシンボルマークの絵は塗装ではなく、青白い石と赤い石で作られていることを皆さんは知っておられたでしょうか。 昭和40年頃からは荒島石の採掘は仲佐石材店だけとなっていたのですが、高齢と地下水が貯まる為、4年前からは採掘は行っておられません。覆い屋根のある採掘現場を見学しましたが、縦穴の底には水が貯まっており降りることはできませんでした。ですが、かなりの石材のストックがあり、裁断の機械も整備してあり、時には注文を受けることもあるそうです。練炭こたつの炉が積まれており、これは何ですかと尋ねたら、一個2万円で今でもたまに買いにくる人がいるということでした。 仲佐さんはまだ元気ですが、後継者がいないことを考えると地域の伝統文化として保存していく方法を考えることが必要になってくると思われます。 |